遊び方
盤面の下に手順の帯(全4段)と次にやることを出しています。終わった手順は薄くなり、いまやるべき手順だけがはっきり出ます。次に押すものには青白い縁取りが付くので、迷ったらそこを押してください。
- 素材を選ぶ:発泡材・木材・砂袋・石材・鋼材の5種類と、消しゴムがあります。重い素材は支えにも重りにもなりますが、その分だけ自分の重さも増え、費用もかかります。予算は1200です。
- ボードの前後に描く:画面の真ん中に立っている板が守る対象です。風は左から右へ吹きます。板の左が風上、右が風下です。指やマウスでなぞると、選んだ素材でマス目が塗られます。ブラシの太さは3段階です。
- 地面につながっていない部分は飛ぶ:地面か台座につながっていない塊は、テストを始めた瞬間に風で飛ばされます。設計中は網目模様で警告が出ます。
- 風洞テスト:ボタンを押すと風速がゼロから上がっていきます。倒れるか折れるまで耐えた風速がその設計の記録です。
- 壊れ方を見る:折れたときは折れた高さに赤い破断線が出て、上半分が風下へ飛びます。倒れたときは接地端を軸に回って倒れます。どちらが起きたかで、次に直すべき場所が分かります。
この計算でやっていること
厳密な有限要素解析はしていませんが、当てずっぽうの数式も使っていません。使っている近似は次の4つです。
- 1. 風の力(抗力):迎え角・後流・高さ分布
- 動圧を
q = 0.5 × ρ × v²(ρ = 1.225 kg/m3)とし、マス目1つあたりの抗力をF = q × Ce × Aで求めます。A はマスの高さ×奥行き(0.05 m × 0.25 m)です。風速の2乗に比例するので、風速が2倍になれば力は4倍です。ここから先が、単純に「Cd を全部のマスに掛ける」のと違うところです。
(a) 迎え角(受風面):受けるのは、そのマスの開いている面だけです。風上側の面が開いていれば、その面の法線がまるごと流れを向いているので平板相当のCd = 1.2がそのまま効きます。上下の面は流れと平行なので、摩擦ぶんのCf = 0.05しか効きません。つまりCe = 1.2·(風上面が開いているか) + 0.05·(開いている上下面の数)です。これは「面の法線の風方向成分(cosθ)で荷重を決める」ことを格子の上でやったもので、格子なので cosθ が 1 と 0 に量子化されています。結果として、縦の壁はすべてのマスが正対して受けるのに対し、流れに沿って寝かせた板は先端の1マスしか受けません(残りは摩擦だけで、正対したときの 1/20 以下)。
(b) 後流(wake):風上の列から1列ずつ流れを進めながら、行ごとの速度欠損を運びます。実体のあった行の直後には0.86の深い欠損が立ち、1マス進むごとに5.5%ずつ回復し、同時に上下の行へ16%ずつ拡散して広がります。その場の速度はv_local = v × (1 − 欠損)で、抗力はその2乗で効きます。この扱いにすると、壁の裏には長く濃い影ができ、離れるほど風が戻り、影は下流へ行くほど広がります。そして壁に隙間を開けると、そこを通る速い流れが混ざって影が浅くなります(同じ位置での荷重が 1.5 倍以上に戻ります)。「開口部を作ると後ろが守られない」が、係数表ではなく流れの計算から出てきます。
(c) 高さ分布:自由流速そのものが高さで変わります。べき法則v(y) = v × (y / 1.30 m)^0.16を使っているので、地面すれすれ(0.025 m)では約 55%、ボードのてっぺん(2.075 m)では約 111% です。荷重は速度の2乗なので、低いところに置いた重りはほとんど風を受けません。
この3つを入れた結果、前後を入れ替えると系全体の抗力も変わります(後流は向きを持つので当然です)。風上に構造を置くとその構造がボードを隠すぶん、系全体の抗力は数%〜十数%下がります。画面では、暗くなっているところが遅い流れ(後流の影)で、流跡線の速さ・長さ・明るさもその場の速度で変わります。 - 2. 転倒(支点まわりのモーメント)
- ボードと台座、そしてそれにつながっている構造をひとつの塊とみなし、いちばん風下側の接地点を支点にして計算します。倒す側のモーメントは
Mo = Σ Fi × hi(各マスの抗力×高さ)、耐える側はMr = Σ mi × g × (x支点 − xi)(各マスの重さ×支点までの水平距離)です。転倒余裕 = Mr / Mo が 1 を切ると倒れます。
重いものを低く置けば Mo を増やさずに Mr だけ増え、支点から遠い風上側に置けば腕の長さが伸びます。風下へ足を長く伸ばせば支点そのものが遠くなります。
ただし、台座の外へ張り出した材が稼げるモーメントは、その材自身が伝えられる曲げMcap = σ·b·t²/6(t は途中でいちばん薄い厚み)で頭打ちにしています。これが無いと、紙のように薄い足を1本引くだけで倒れなくなってしまいます。 - 3. 折損(曲げ応力)
- ボードを高さ方向に40分割した片持ち梁(オイラー・ベルヌーイ梁要素・節点あたり たわみと傾きの2自由度)として解きます。根元は台座に固定、描いた支えは接触した高さに水平ばねとして入ります。
ばね定数は、支えを「接触点から接地点の重心へ向かう斜材」とみなしてk = E·A/L × cos²θ(θ は水平からの角度、A は接触点から地面までのいちばん細い断面)とし、同時に「その高さでの片持ち」としての3EI/L³で頭打ちにしています。だからボードにぴったり沿った縦の柱はほとんど突っ張れず、斜めに広がった支えほどよく効きます。
ばねの力が決まったら、切断面より上にある力だけを足してM(y) = Σ Fi × (yi − y)で曲げモーメントを出し、長方形断面のσ = M·c/I = 6M/(b·t²)で応力にします。これが合板の 7 MPa を超えた高さで折れます。 - 4. 支えそのものの破壊
- 支えに流れる軸力を
N = F / cosθとして、σ = N/Aが素材強度を超えるか、オイラーの座屈荷重Pcr = π²EI/L²を超えると、その支えが壊れます。細く長い支えほど座屈で先に負けます。
省いているのは、地面との滑り、接触部の引張の伝わり方(描いた構造はボードに接着されている扱いです)、風の非定常性、渦の放出と剥離、揚力(横向きの力)、素材の疲労です。後流は「速度欠損が下流へ流れて広がる」という1方向の輸送として扱っていて、上流へ戻る再循環や渦は入っていません。ここを厳密にやっても遊びの手触りは変わらないと判断しました。
設計のコツ
- まず倒れる:素のボードは 9 m/s 前後で倒れます。最初にやるべきは重り(砂袋・石材)を低く、広く置くことです。
- 太く描けば強い:支えの効きは断面積と厚みの3乗で効いてきます。細い線を1本引くより、同じ費用なら短くても太い三角形のほうが効きます。
- 高く張り出すと不利:高い位置の材は、その高さぶんだけ倒す側のモーメントを増やします。これは風上でも風下でも同じです。同じ量の材なら、上へ伸ばすより横へ広げるほうが強くなります。
- 寝かせれば風を受けない:受風は「風上を向いた面」だけで決まるので、同じ量の材でも縦に立てると全部が風を受け、横に寝かせると先端しか受けません。風上に置く重りは、縦に積むより横に広げるほうが荷重が小さくて済みます。
- 低いところは風が弱い:風速は高さのべき法則に従うので、地面すれすれでは自由流速の半分ほどしかありません。荷重はその2乗なので、低い位置の材は重さだけ稼いで風はほとんど受けません。これが「重りは低く」の物理的な理由です。
- 壁で隠すなら隙間を作らない:風上に壁を作るとその裏に後流の影ができてボードが守られますが、隙間があるとそこを通る速い流れが影を薄めます。守るための壁は、面でつなげてください。
- 風上と風下の違い:風下に伸ばした材だけが支点を遠ざけられます(これが転倒にいちばん効きます)。一方風上の材はボードを後流で隠すので、ボード自身の曲げは減りますが、そのぶんの荷重は自分で受け止めることになります。だから風上は低い重りと壁、風下は支えと足、という役割分担が自然になります。
- 支えを高くすると折れる位置が上がる:低い支えだけだと支えのすぐ上で折れます。支えを高くすれば折れる風速は上がりますが、重心と受風面積が上がって転倒しやすくなります。この綱引きがこのゲームの中心です。
- 発泡材は軽いが柔らかい:重りにも支えにもなりません。ただし費用が安いので、面積で風を受け止める壁には使えます。
よくある質問
- ウィンドラボはどうやって遊びますか?
- 画面の真ん中に木のボードが立っています。素材を選んで、ボードの前(風上)と後ろ(風下)に指でお絵描きし、ボードを支える構造を作ります。描き終わったら風洞テストを押すと、風速がゼロから少しずつ上がっていきます。ボードが倒れるか折れるまで耐えた風速が記録になります。
- ボードの素材は変えられますか?
- 変えられません。真ん中のボードは合板で固定で、厚みも高さも変わりません。素材を選べるのは自分で描いた部分だけです。ボードそのものを強くするのではなく、まわりの構造で守るのがこのゲームです。
- どうすれば倒れにくくなりますか?
- 転倒は風下側の接地端まわりのモーメントの釣り合いで決まります。重い素材を低い位置に、支点から遠い風上側に置くほど抵抗モーメントが増えて倒れにくくなります。逆に、風下側へ足を長く伸ばすと支点そのものが遠くなるので、これも効きます。高い位置に重いものを置くと受風面積が増えて逆効果です。
- ボードが折れるのはどういうときですか?
- ボードの曲げ応力が合板の強度を超えたときです。支えが低い位置にしか無いと、そこから上が片持ち梁になり、支えのすぐ上で折れます。支えを高くするほど折れる位置は上がり、折れる風速も上がります。ただし支えを高く大きくすると受風面積と重心が上がるので、今度は転倒しやすくなります。
- データは保存・送信されますか?
- 描いた構造と最高記録を、お使いのブラウザのlocalStorageに保存します。閉じても続きから遊べます。計算はすべてブラウザ内で完結し、外部サーバーへの送信は一切行いません。